かとっぽ

     青砂ヶ浦教会  (上五島地区)  


 青砂ヶ浦天主堂は、奈摩湾の中腹を見下ろすように正面を西に向けて建っている。設計施工は
長崎県下に数多くの教会建築を残した郷土出身の鉄川与助による。
明治43年(1910年)8月に竣功し、同年10月献堂式が行われた。
煉瓦造りの重層屋根構造である。重層の断面形式をそのままに現す正面は、煉瓦による
帯状装飾によって3分割し、薔薇窓や縦長アーチ窓によって飾られ、正面入り口には
台座と植物模様の柱頭飾を有する円柱で支えられた石造りアーチを持つ。
内部は3廊式で主廊部・側廊部ともに漆喰仕上げ4分割リブ・ヴォールト(コウモリ)天井、
アーチは全てポインテッドアーチで造られている。
外観内部とも全体に均整のとれた構造となっており、細部の意匠とも優れている。
日本人設計者の手で建築された煉瓦造教会堂の初期のもので、かつ本格的教会堂建築の
基本である重層屋根構造にもとづく外観や内部空間が形成されるようになった初めての例で、
この後県内の離島を中心に多数建築された煉瓦造教会堂の構造、意匠の起点となった。
国指定重要文化財(平成13年11月14日)
1910(明治43)年10月17日落成

マリア像が立つ前面

教会内部