かとっぽ

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　　昔、村のお寺に和尚さんと小僧が住んじょったっち。

二人とも大豆んざあまに好いちょったっちた。

　ある日、味噌ば搗こうと思うて大豆ば蒸しっちょったら、良か匂い

のしてきたもんやっけん、二人とも大豆ば食ぶごちゃってたまらんごっ

なったっち。そっで和尚さんや、どがんしてん大豆ば食べたかばってん、

小僧の手前、つまみ食いやされんし・・・ち思って、小僧に用事ば言い

つけっ使いに出したっち。小僧がお寺の門は出て行っとば見た和尚さん

や、「しめしめ、小僧ん居らん間に大豆ばゆっくり食ぶかな。」ち言う

て、蒸し上った大豆ば味噌こしに入れっ、縁側に座って食ぶっちしちょ

ったら、「あっこりゃいかん。小僧ん帰ってきたらすく見つかっな。

誰っにも見つからんごっ便所で食ぶっか。」　和尚さんは急いで味噌こ

しについだ大豆ばかかえっ、便所で食べっちょったっちた。

　小僧さんが、お使いから帰ってみたら、和尚さんが居らんもんじゃけ

ん、「しめしめ、和尚さんのおらんうち、大豆ば食ぶっかな。」と急い

で柄杓にいっぱい大豆はすくっ食ぶっちしたばってん、「あっ、待っち

ょけ。和尚さんが来たらすぐ見つかんな。どこで食べれはみつからんか

なI。そうたい、便所で食ぶっか。」と急いで便所に行って戸は開けたら、

和尚さんがおっじゃかん。小僧さんやもうびっくっうして和尚さんば見

たら、和尚さんも目ば白黒させ、なんか口一杯ほうばっちょったもんじ

ゃけん、小僧さんやとっさに、「あっ、和尚さん、おかわり。」ち言う

て、大豆の入っちょっ柄杓ば差し出したら、和尚さんや苦笑いばして、

「もう、よかよか。お前も食べれ。」ち言うて柄杓は返し、小僧さんも

喜んで、二人仲良く食べたっちた。