かとっぽ

     カッパの正体              Home


 カッパは伝説上の動物であるにもかかわらず、昔の人は「カッパを見

た!」「いやカッパは居ないはずだ!」「見たとすればそれはスッポン

(亀)かカワウソである!」といって口論されています。 然しながら

カッパについての伝説は全国各地で語られていることや、有名な作家で

ある泉鏡花・芥川龍之介・火野葦平・原田種夫・清水昆といった多くの

方々がカッパを取り上げた小説や絵を書いていることからすれば、カッ

パの存在は人間がユーモアとロマン的な発想のもとに考えたものと思わ

れます。 さてカッパの正体については色々な説がありますが、身長は

河の童と書くことからして四、五歳の子供位であり、頭の上に皿があっ

てその皿の中には水があり、頭の毛は短いとされています。

 更に、カッパは頭の上の皿の水がエネルギー源となっているので、体

は小さくても神通力があり、そのために人間を騙したり大石を動かした

り、また相撲をとることを好み、年齢も百年以上生きることが出来ると

されています。しかし、カッパの弱点は、頭の皿の水が無くなると神通

力を失うので、水掻のある手が簡単に抜けたり力も無くなると伝えられ

ています。 体の色は、地方によっては黒や青、赤いものがあるとされ

ていますが、水の中に入ると透明になるので人間には見えず、顔面は三

角形に飛び出ていて、目はギョロリとして丸く、食糧は川魚の他に米・

麦・芋・木の実と雑食であるが、特に水気のある胡瓜と茄子と洒が好き

であり、更に五島のカッパはウドンとカンコロ餅が大好物とされており、

嫌いな物は、角豆(ササゲ)と瓢箪(ヒョウタン)であると伝えられて

います。


 鳴き声は「ケッ、ケッ」とか「ギェツ、ギェツ」とか「ヒュウ、ヒュ

ウ」と鳴き、また、彼等は川の流れがよどんだ水深い所や、沼や湖や井

戸や、川が海に流れ込んでいる河口付近に住んでいます。冬になると食

糧となる農作物が少なくなったり川の水が冷たくなるので、木の実があ

る山に入って山童(ヤマウロ)になるとされています。 また、カッパ

の呼名も地方によっては、「ガァタロ、ガァーポ、カワ太郎、ガラッパ」

と色々とありますが、青方地区ではガァタロ又はガァーポと呼ばれてお

り、実在性のない動物にもかかわらず、全国には水神様信仰と共に河童

明神様となって、カッパ祭などが行われていますが、そのことは、昔か

ら人間の生活の中で、カッパが、王む川や水がいかに大切であったかを

知ることが出来ると共に、水神様や田の神様が祀られている所には必ず

カッパの伝説があります。全国の各地に伝わるカッパの話は、人間を騙

したり相撲をとったり、人間や牛馬を川に引きずり込んで溺れさせたり、

田畑の作物を荒らしたりした物語りが多い中で、河童の恩返しとしては、

「切り傷の薬」の造り方や「酒造りの水」のある所を教えたり、病気の

人間に鯉やスッポンを捕らえて持って来たり、雨が降らずに人間が困っ

ている時には親戚とされている雲の上の雷様に雨乞いをして雨を降らせ

てもらうことなどが紹介されています。 このような伝説は江戸時代の

ものが多いようですが、一番古い話は神代の時代にさかのぼるとされて

います。 一説によりますと、河童は、「イザナミノミコト」の子神で

水神様となった「ミヅハメノミコト」の子孫であるとか、七福神の一人

で琵琶(楽器)を持っている弁財天は、音楽と弁舌と財福と知恵をつか

さどる神様であることからしてその子孫であるとも伝えられています。

 そして、青方神社にある八坂神社の主祭神は、「スサノウノミコト」

でありますが、「ミヅハメノミコト」の子孫であるとされている青方の

カッパは胡瓜を輪切りにした形が八板神社の紋所に似ているので胡瓜は

嫌いであると伝えられています。

                上五島カッパ村 道 津 徳 丸

                上五島町 民話 カッパ物語  より