かとっぽ

    河童の恩返し              Home

 むかし、箒山の近くに、竹篭を編みながら子供達にいろんな話を

してくれる、長次郎じんじと呼ばれるお爺さんがしてくれた話。 

 むかし、箒山の近くの里に何時どこからやって来たのか、はっき

りとは分かりませんが、半次郎という人が両親と三人で暮らしてい

た。半次郎は里の皆んなと仲良くし、またよく働き、正直で親切だ

ったので、仏の半次郎と呼ばれていた。ある時里の世話役さんがや

ってきて、半次郎さんも、もうここに来てな

ごうなんなあ。よく働いてくれるし、皆のた

めによくやってくれるけん、皆が「土地ばや

ったらどがんね。」と言いよるばってん、ど

がんかなー荒れた土地やばってん畑やたにし

てみたら・・・。」半次郎はとても喜んで「有難かあ。自分の土地

ば持たるっち、嬉しかなあ。」早速もらった土地を畑にしようと、

石ころを運んだり、生えている木を伐ったり、毎日朝早くから夜遅

くまで一生懸命に頑張りました。また半次郎はとても優しい人で、

人間だけでなく動物にも優しくしました。犬が子供にいじめられて

怪我をすると、「つんだっさよー、

痛かったろう」と言って薬を付けて

布で縛ってやりました。ある日のこ

と畑仕事の後、暗くなった道を歩い

ていると、河童が怪我をして苦しん

でいました。「わあ、ざあまに怪我

したなあ。痛かろう。よし、おっげ

ーにけー」と言って家に連れて帰り、

手厚く手当してやりました。

 すると河童は、どうも有難うござ

いました。」と何度もお礼を言って

帰っていきました。それからというものは、毎晩河童の一族が畑の

石を取り除きに来てくれる、半次郎の畑は見る見るうちにきれいに

出来上がりました。この地区のずーと上の方には、小さな握り拳く

らいの石垣で囲まれた畑がいくつもあり、その畑が河童の手伝いで

作った畑だということです。

                         有川町郷土誌より