かとっぽ

   河童と相撲               Home

 むかしむかし、大川と木場川の合流した所を、「中ん川」と呼ん

だ。そこは川底が深くなり、何時も青黒い色をしていた。そこには

河童が住んでいて、子供が川で遊んでおると、川の中にひきずり込

んだり、子供をつかまえては無理やり相撲を取って、放り投げてい

た。あまりに悪いことをするので、有川で一番相撲の強い男が、

「よし!俺があの悪戯河童ばこらしめてやろう!」と言うて、河童

と相撲を取ることにした。「こら、悪戯河童!! お前は何時でも弱い

子供ばかりいじめているが、今日は俺が相手するから、早くでてこ

い!」と怒鳴ると、相撲好きの河童がホイホイと出てきて、「お前

が村で一番相撲の強いと言うても、俺に勝つものか

!さあ!かかってこい」と言って取り組んだ。どち

らも強いのでガップリ組み合ったまま少しも動か

ず、しばらくしてから河童が、「ちょっと待て!」

と言って川の方におりて行った。小便でもするのだ

ろうだろうと思っていたが、たびたび降りていくので、男が見に行

くと、頭の皿に川の水を手で掬って入れていたのである。男は「今

日はもうこれ位いにして、明日正式に勝負しよう。もし俺が勝った

ら、二つ約束を守れよ 一つは、水神様の青か石の腐れるまで、こ

の村の者に悪い事をしない

こと。二つ目は、この村の

子供達が水に溺れないよう

に守ってくれること。よい

かと念を押した。河童は

「どうせ俺が絶対に勝つの

だから、約束する」と言っ

た。次の日に男は河童に向

かって「こら、河童!お前は挨拶と言うものを知らないのか!正式

に相撲を取るからには、頭ぐらい下げろ。」と言うと、河童も丁寧

に頭を下げた。途端に頭の上の皿の水がこぼれてしまい河童のが弱

ったところを一気に投げ飛ばした。そして河童に約束を守らせたと

いう。