かとっぽ

     みんかけ        


   水のことを「みん」と言っていますが、前の年に結婚した夫婦を祝福して、

  将来の幸福と繁栄を願って、笹の葉で水をかけてまわる行事です。 旧藩時代

  は、1月5日に小串と似首で行われていましたが、戦後はなくなっていました。

  昭和54年に似首に「みんかけ保存会」が結成され、50年ぶりに郷土芸能として

  復活しました。 現在ではいろいろなイベントや催しもので披露され、新魚目

  町の郷土芸能として継承、保存が図られています。


 この地方では靴って「ミンカケ」というがこれは小串、似首に伝承され前年

結婚した男子を祝う行事であった。酒の空樽に紅白の紋で飾った葉つきの青笹

をさしたものを二〜三個つくり、これをさまぎまに扮装し茜の鉢巻、たすきが

けの若者数人が担ぎ片手で紙製の妥を打ち競りつつ練り歩くが樽の前後左右に

は七福神や翁媼などに扮した十人余の若者が随い「祝いめでたの若松様よ、ヨ

イヤナ、技も栄える、叶うた、叶うた、思いゴチヤ叶た、ヨイヤナ、今年叶え

で、かどに立ちたる、茜ハッマッチャ(鉢まきは)だっじや(誰か)、ヨイヤ

ナ、だっじやござんらん(誰れではございません)日本のワッカシユ(日本の

若い衆)、ヨイヤナ、ミンばカケギキク(水をかけにきた)笹ミン(笹水)、

ハイヤソラウラ、カケギきた(掛に来た)と唄い滴りながら郷内を練り廻り、

前年中結婚した者の家前で樽をおろし「出やれや出やれ、婿どの出やれ、祝う

て笹みんかけ申そうハイヤオイ」と叫ぶのであるが、その家では年中行事のこ

と故予期しているので障子を開け放って一行を迎えた。樽の側にいる者が別桶

に用意して持参した水を笹葉で振りかけると結婚してまだ日浅き婿どのはこれ

を恥らい逃げ回り、これを追って笹葉で水をふりかける。そのあと用意された

酒肴が縁先に運ばれ一行は立ったままこれを飲食して次に練り行くのであった

が見物の人々は振舞いの面白さに笑い興じて正月らしい寡囲気に浸った。